Valid HTML 4.01!全体論


 ついに、「全体論」という言葉が出てきます。
 
「全体は部分の合計以上のものである」


 この言葉は、このサイトで紹介している理論のあちこちに出てきます。

 システム理論ははっきり表明していますし、心理療法も人間と環境について、「全体」を考えています。

 このような考え方を「全体論」と呼びます。

 英語では holism ホーリズムといいます。形容詞はholistic ホリスティックです。

 「ホリスティック医療」という言葉を耳にすることもあるでしょう?

 この holism という言葉は、ギリシア語のholon ホロン=実体という言葉から作られました。

 作ったのは南アフリカの政治家で思想家であったJan Christian Smuts ジャン・スマッツです。

 南アフリカにはかつてトランスヴァール共和国とオレンジ自由国というオランダ人入植者が作った国がありました。

 このオランダ系の人々をボーア人といいます。

smuts この国は金とダイアモンドを産出していました。

 イギリスはこの金とダイアモンドを狙いました。

 1899年、イギリスは、この2国同盟と戦争を始めました。これが第2次ボーア戦争です。

 スマッツはボーア民兵を率いて、ゲリラ戦を展開し、イギリスを苦しめました。

 1902年にイギリスの勝利で終わり、両国はイギリスの植民地となりました。

 しかし、イギリスはボーア人の勢力を無視できず、植民地の支配をボーア人に任せました。

 1910年に植民地は南アフリカ連邦になり、スマッツは国防大臣になりました。

 第1次世界大戦が始まると1915年イギリスと同盟し、ドイツに抵抗し撃退しました。イギリスの厚い信任を受けました。

 1924年には南アフリカ連邦の首相となりました。

 1926年に政治ではなく哲学として"Holism and Evolution",「全体論と進化」を出版しました。

 スマッツは,「部分をいくら積み重ねても全体に到達することはできない。全体は部分の総和以上のものだからである」と主張しました。

 しかし、時代とは逆行する考え方でしたし、「それでは、具体的にどんな方法があるのか」と言われると的確な答えを出せないので、広くは受け入れられませんでした。

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