膝上げについて

 ベッドに寝せたまま、背板を起こして上体を上げていくと、お尻に重さがかかってきて、足側にずれていきます。

 これを避けるために、足側の床板が膝の裏のところで折れ曲がるベッドが主流です。


 「ヘッド・アップの前に膝を上げておくと、体がずり落ちないから褥瘡の予防になる」と言うのです。


 このように起こすのが、最善のように宣伝されます。

 わたしは、このページの読者に、ぜひ、そのようなベッドに寝て、自分の体に問うてほしいのです。


 力学で人間の動きを分析する人は、「
骨盤にかかる接触圧を大腿にかけよう」と考えます。

 「膝上げをして、ヘッドアップしなさい」と言います。

 ベッドメーカーは、ベッドの足側半分が折れ曲がるようにしました。

 折れ曲がったベッドの床板が、膝の裏から大腿を押し上げます。

 しかし、
大腿の下敷きになる筋肉=ハムストリングは、股関節が曲がるときに「伸びていく筋肉」です

 筋肉は横から押されただけで伸びてしまいます。

 股関節を曲げるには、さらに伸びなければならなくなります。

 結局、
大腿の裏に圧をかけると、ハムストリングが伸びるのを邪魔します。

 介助される人はハムストリングの伸びが悪いから、お手伝いを求めているのです。

 それなのに、大腿の裏を押し上げることは、股関節の自然な動きを邪魔することになります。