ロルフィング体験記

 ロルフィングのセッションは、10回で1セットになっています。

 セッションの間隔は、2〜4週間くらいがよいと言われています。

 1回のセッションで、自分の体が学習したことを、日常生活で使いなじむまでに、ある程度の日数が必要です。

 体は、だんだんと変化していきます。

 なかなか10回定期的に通うことはできないことがあります。

 そんなときは、分割して行うと良いと言われています。

 1回、3回、7回が区切りです。

 ですから、まず1回だけ試してみるとか、3回で一休みして、時間ができたときに再開することができます。

 7回で一通り基本的なセッションは終了し、その後の3回は、まとめとか総仕上げといわれます。

 わたしは北海道に住んでいますから、東京に出たときに通うことにしてもらいました。

 いい加減で不真面目な生徒です。


 2005/08/25は、台風の中、日本褥瘡学会のために東京に行きました。

 学会前日に、プレコングレス・セミナーを指導して、翌日は自分の発表をしました。

 最終日の土曜日は午後からポスターセッションの座長が当たっていました。

 しかし、午前中は暇なので、学会はさぼって、代官山までロルフィングの初体験に行きました。


 ロルフィングスペース代官山はわかりづらいとのことで、ロルファーの平田さんが代官山の駅まで迎えに来てくださいました。

 確かにわかりづらい。

 行く人は、あらかじめ電話予約が必要です(当たり前か)。

 代官山の駅から、5分ほど歩きながら、簡単にお互いの自己紹介をしました。

 部屋について、一休みしながら、「どうしてロルフィングに興味を持ったのか」を聞かれます。

 その動機に合わせてセッションを組み立てるのでしょう。

 しばらく話して、お互いのことがある程度わかってから、セッションに入ります。

 突然、体に触るのも変ですからね。

 ロルフィングのセッションは素肌で受けます。

 水着を用意することが勧められています。

 もちろん、浮き輪はいらないです。

 平田さんは、「私は普通の下着でも気にしないのですが、ほら、やっぱりいやでしょう?」と言います。

 そりゃ、そうです。ははは。



 まずは、セッションに入る前に、パンツ一つで立ったり歩いたりして、観察されます。

 「膝の裏が伸びていますね」といわれました。

 高校生の時に、弓道部に入り、「ヒカガミ(膝の裏)をのばせ」と教えられたことが癖になっているのです。



 ロルフィングは「筋膜を伸ばす」といいます。

 筋膜は筋肉の上や、腹膜の下などにあります。

 結構深いところにもあります。

 外から、そんな深いところを伸ばそうと力を加えると・・・、痛い。

 痛いとは聞いていましたから、覚悟して耐えます。

 しかし、時々、「うっ、それは痛い」と弱音を吐きます。

 そうすると、力を弱めてくれます。

 我慢大会ではないので、痛いときは痛いというのがよろしいようです。

 たいていの人は、筋膜が硬くなっているので浅いところの筋膜から伸ばしていきます。

 「あーっ、なるほど、これが『筋膜をのばす』と書かれている言葉の意味か」と体験から学習しました。

 医学的に筋膜と呼んでいるものと、体験的に「筋膜が伸びている」ものが同じ保証はありません。

 わたしがセッションを受けているときに、解剖して筋膜を観察はできないからです。

 たいせつなことは、「筋膜を伸ばす」という表現が、どんな体験を示しているのかです。

 言葉の意味するものを体験することが大切です。


 「ここが縮んでいますね」といって、首の深い筋肉を伸ばされました。

 私はキリンか?

 ベッドから立って歩いてチェックするようにいわれました。

 「あれっ、ふくらはぎが伸びている」

 おもしろかった。

 ロルファーの平田さんは『おもしろい体ですね。堅いのかなと思って、のばしにかかると力を受け入れてすーっとのびる」と言いました。

 「あっ」と気がつきました。

 「それは『許す』がいまのわたしのキーワードだからです」と話しました。

 ジュディスのワークで気づいたことだったのです。

 自分の胸の筋肉にゆるむことを許したら、楽に息を吐けるようになりました。

 ジュディスは「息を吐くことで、吸えるようになります」と言っていました。

 平田さんに胸椎の周りの筋肉の調整をしてもらい、胸椎を楽に呼吸に使えるようになりました。

 平田さんは、「ふつうの人は表面の筋膜の調整からはいるけど、そのレベルはすでにセルフトレーニングでできているので、今日はふつうの人のセッションの3回目から6回目のレベルです」と言いました。

 お世辞かもしれない。ははは。

 いままでの体験は役立っていること、「人間を対象にする学問やワークは同じところに向かう」と再確認しました。

 おもしろかった。

 終わって時計を見ると、3時間たっていた。

 あわてて、学会場の横浜に向かった。

 9月に2回目の体験をしました。

 平田さんは、スペインに行き、アドバンスロルファーの資格を取ってきたといいました。

 そして、足の骨を調整に入りました。

 足根骨をあちこち押していると、「コキッ」という音がしました。

 立方骨の位置を調整したといいます。

 ひぇーっ、あんな骨が動くのか!

 足が大きくなり、歩いているときに第一趾が最後まで床についてる感じになりました。

 時間が余ったからと、首の筋肉を伸ばしてもらいました。

 首が伸びました。

 帰る途中の飛行機の中で気づいきました。

 私は頭が後ろにそらないように、頭を前に傾けようとしていたのです。

 首の前の筋肉が収縮させて、前に傾けていました。

 でもやるべきことは、頭の後ろの筋肉をゆるめることだったのです。

 首の後ろがのびる感じがするようになりました。


 ここに書いた体験が、あなたも同じようにできる保証はありません。

 私にとって、ロルフィングのセッションは、自分の体に気づくチャンスです。

 その気づきを日常の生活の中で使うことで、自分のものになります。

 ロルフィングのセッションを受けるときに、私のように欲深く自分の体に注意を向けて、気づくこともできます。

 気づかなくても体は楽になります。

 それはそれで一つの学習なのです。

 人は一人一人違います。

 自分の習慣的緊張に気づく助けがほしければ、ロルフィングも役立ちます。

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