ライヒの性格分析
「心を支配する体」の発見

 それまでは、「体」は心の下に支配されるものでしかありませんでした。

 しかし、いまや、「からだ」が筋肉を固くして、リビドーの循環を障害すると、「こころ」が神経症になるかもしれないと考えられたのです。

 つまり、「からだ」が「こころ」を支配しているかもしれないと気づいたのです。

 ライヒが「筋肉の鎧」という言葉を使ったときに、心理学がはじめて「心を支配する体」を発見したのです。

 心に対する「体」の優位性を認めたのです。



 クライエントは体を硬くし、何も感じないようにしていました。

 クライエントは体を硬くし、何も与えようとしていませんでした。

 体は硬く、自由に動くこともできないのですが、それを本人は「楽な」状態だと思いこんでいたのです。

 動かなければ、変わらなければ、神に守られるがごとく、自分は攻撃もされず、壊れもせず、安全だと無意識に思いこんでいたのです。

 その人の体の緊張パターンが「性格」を作ります。

 ですから、言葉で話を聞くよりも、その人の行動パターン、動作、癖を見た方が、性格がよくわかります。

 そして、その「性格」が神経症そのものです。

 ライヒが、クライエントの背後から話を聞くのではなく、正面から向き合ったために、そのような習慣的な筋肉の緊張を見つけることができたのです。

 フロイトの精神分析は、言語による分析でした。

 ライヒの性格分析は、非言語的コミュニケーションによる分析なのです。

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