日本のナースと心理学の話をすると、出てくる名前はマズローやロジャースです。 正確に言うと、多くは名前では出てこないで、ロジャース流の「傾聴」やマズローの唱えた「自己実現」と言う言葉が出てきます。 ここは、「自分が誤解していたこと」を知ったみちすじを解説しています。 「傾聴」の誤解 ロジャースの考え方が日本に入ったのはそんなに古いことではありません。 日本の看護にはエンカウンター・グループによる心理療法とともに見籐隆子氏が導入したようです。 「エンカウンターグループから学ぶ −新しい人間関係の探求−」(九州大学出版会)に、そのあたりの経緯が書かれています。 「ロジャース学派の現在(至文堂)」にも執筆しています。 見籐氏はその後、日本看護協会長になりました。 影響力は大きかった。 ロジャースは、セラピストに「自己一致」が必要だといっています。 話を聞く人自身が、人間として尊敬される立場になければならないのです。 自分が人間として扱われる人が、相手を人間として扱うことができます。 ですから、セラピストがクライアントに対して不快な感情を持っているときには、それを素直に表出しなさいといいます。 しかし、日本の看護では「指示しないで傾聴する」という「言葉」だけが一人歩きしました。 ナースが患者さんから不快なことをされても、笑顔で受け入れなければならないと思われました。 必要な「聞き手の自己一致」は取り残されました。 ロジャースは、ただ傾聴しなさいとは言っていません。 まして、論理情動療法やゲシュタルト療法があり、それが効果的な心理療法と認められていることが理解できれば、傾聴するだけでは逆効果かもしれないと思うでしょう。 ときには、積極的に指示を与えたり、感情を刺激して「図」と「地」をひっくり返すことも、親切なことです。 あっ、信じていませんね。信じていない人は、参考文献のロゴをクリックしてください。 医学書院の週間医学界新聞、2602号、2004年9月27日号の特集を読むことができます。 この中の広瀬さんの意見の多くは上に述べた考えとよく似ていると思います さて、あなたはどう考えますか? |
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