「時間」ふたたび


 「空間」のなかに「内側の空間」と「外側の空間」があることを学びました。

 ひょっとしたら、「時間」にも「内側の時間」と「外側の時間」があるかもしれません。

 「待つ身は長い」、「あっという間に過ぎた一年」と言うように、これから来る時間は長く感じ、過ぎた時間は短く感じます。

 子供の時には、「早く大人になりたい」と望み、大人になると「あっという間に年をとる」と嘆きます。

 心理学では、これから来る時間の感じを perspective time estimation 予期的時間評価、過ぎたことについての時間の感じを retrospective time estimation 追想的時間評価と呼びます。


 一般的にこれから来る時間は長く感じます。

 過ぎた時間は短く感じるのですが、楽しんでいる最中は結構長く感じます。

 セミナーに出て、「わぁ、今日はいっぱい学習したなぁ」と感じるのに、終わったときの感想は「あっという間に時間が過ぎてしまいました」です。

 つまり、人間の心の中では、時間は伸び縮みします。

 これが「内側の時間」です。


 物理学では時間は一つです。

 「1秒は、Cs(セシウム)133原子の基底状態の二つの超微細構造間の遷移における放射の9,192,631,770周期の継続時間」と定義されています(産業総合研究所のページ参照)。

 この1秒の積み重ねで、世界の時間が規定されます。

 世界中の時計は同じ速さで進みます。

 時計は日本の中で速く進み、アフリカでは遅く進むようなことはありません。

 これが「外側の時間」です。