ポジティブ・シンキングとネガティブ・シンキングが、未来と過去の問題だと気がつくと、希望や絶望も未来と過去に関係していると気づくかもしれません。

 「希望を持つ」ということは、「今、ここ」のことではない未来を考えていることです。

 「希望」が成就することは保証されていません。


 成就しないかもしれないから、「希望」なのです。

 「希望」が実現すると思いこんではいけません。

 「希望」は現在ではなく、現実でもありません。


 このように書くと、『希望を持つな』と書いているように見えます。

 そうではありません。

 「今、ここで自分は『・・・と希望する』と考えている」と気づくことです。

 あなたが「今、ここ」で行っていることは考えていることなのです。

 実際に何かを行っているのではありません。

 それに気づくと、次の瞬間には動くことができます。


 希望、目標、ゴールの設定は、「今、ここ」で動く方向を示すオリエンテーションです。

 目の向く方向を示している言葉です。

 それが「言葉」であり、「方向」であることを気づいている限り、とても有効なものです。

 それが「現実」と同じだと思うと、混乱します。

 希望・期待・目標が現実と同じで実現しなければおかしいものと考えると苦しくなり、今を忘れます。

 そのような人は、希望したことがかなっても、満足できません。

 なぜなら、希望したときにすでにそれは現実と等価ですから、実現しても変化がないのです。

 そんな人は実現へのプロセスで「希望」という未来だけを見ていますから、「今、ここ」の積み重ねという体験が残りません。

 結局、希望した時点から、実現した時点までのプロセスという自分の人生は失われます。

 このプロセスの人生は誰かが奪ったのではありません。

 自らが、忘れておいていったものです。