呼吸について(その2)Valid HTML 4.01!


 あなたは「健康診断を受けること」はお好きでしょうか?

 たいていの人にとっては、「ありがた迷惑」です。

 診察する側としても、「あなたは太りすぎですから、栄養士から食事指導を受けた方がよいと思いますよ」と言ったり、「胃のバリウム検査でははっきり見えないところがありますから、消化器内科で内視鏡などの詳しい検査を受けることを勧めます」などと話したときに、「えっ!?それはどういう病気が考えられるのですか?」と、気色ばんで質問されるのは、楽しいことではありません。

 健康診断は、「健康を保証するもの」ではなく、「自分の体がハツしているけれど、自分では気づかないサインに気づかせる」ことだと思います。診断した側が、受診者の健康をすべて請け負うことはできませんから、「気づき」を与えて、自分で対処できるようにしてあげることが良いと思います。

 「自分で気づくようにできる」と、自分でコントロールできます。

 自分でコントロールできると、やりたいことのために、行動を調節できます。

 すると、早くできなくとも、確実に目的に近づくことはできます。

 自分でコントロールできなければ、他の人にコントロールしてもらわなければ、行動できません。他人にコントロールされることは、とてもつらいことです。



 たとえば、糖尿病の治療を考えてみましょう。

 普通の人は血糖が上がると膵臓からインシュリンが出て血糖値を下げます。

 運動して血糖値が下がると肝臓のグリコーゲンが分解されて糖になり放出されて、血糖値が上がります。

 このようにして、体は一定の血糖値に調節しています。

 血糖が高くなったときにインシュリンを出すことが適切にできなくなった状態が糖尿病です。

  1.  軽い糖尿病では食事指導をします。自分が何をどのくらい食べているのか、カロリー計算を指導されます。カロリー計算ができれば「どのくらい食べたか」が分かります。

     「膵臓が血糖値を感知してインシュリンを出す」機能を、「自分の摂取カロリーを計算して取り込むカロリーを制限する」という機能で代行させています。このようにして、「自分でコントロールする」という状態を続けられるから、「楽に生きていられる」のです。

  2.  もうすこし進んだ糖尿病では、薬を使います。血糖値を下げるために、「摂取カロリーを制限する」ということだけでは、対処しきれないときには、薬を使って、糖の取り込みを制限するのは有効です。上に書いた 「取り込むカロリーを制限する」機能を薬で助けています。

  3.  もう少し進むと、インシュリンの自己注射になります。血糖値を自分で測定して、決められた量のインシュリンを自分で注射します。「膵臓が血糖値を感知してインシュリンを出す」機能を完全に本人の手で代行します。「膵臓がインシュリンを感知する」機能は、血糖測定器で行なわれ、インシュリンを出す機能は、自己注射でまかなわれます。

 このようにして、「自分で自分のことをコントロールする」ということができていれば、「今、ここ」で持っている能力と体をすべて使って生きることができます。

 これがサイバネティクスシステムとしての人間の「健康な状態」です。

 キネステティクスの中野「健康」の概念は、サイバネティクス的健康です。

 たとえ、検査値からは糖尿病と診断されても、サイバネティクスシステムとしては健康でいられます。

 「糖尿病」という診断は、「不健康である」ということではありません。

 「血糖のコントロールに意識の参加をすることで、やりたいことのできる体である」ということです。

 「えっ、それって病気だろう!」と思うでしょう。

 では、質問です。


 背の低い人がいます。小学校3年生です。クラスでも小さい方から3番目です。

 この人は、エレベータに乗ると最上階のボタンを押せません。

 同乗の人がいたら
頼んでボタンを押してもらいます。

 学校の帰りで物差しなどを持っていると、それを
使いボタンを押します。

 誰もいなくて、道具もなければ、手の届くところのボタンを押します。

 エレベーターを使う
代わりに、階段を歩いて上ります。

 この人は、不健康でしょうか?病気でしょうか?


next