男は、どうして良いか分からなかったが、そこにいる理由もないので、旅館に戻ることにした。
旅館に着いた途端、突然雨が降り出した。
「なんて、こったい。あの漁師は天気が読めるのか?経験を積んだ人間の能力ははかり知れないなぁ。」
翌日、散歩に出かけると、またあの年老いた漁師のところに行った。
漁師は相変わらずの格好だったが、今日はラジオから歌謡曲は流れていなかった。
「昨日はありがとうございました。おかげで早めに旅館に帰り、雨にぬれずにすみました。ところで、今日は雨は降らないでしょうかね。」
年老いた漁師は言った。
「今日の天気はわからねぇ。」
「えっ、どうして?昨日は、あんなに晴れていても、雨が降ると分かっていたのに・・・」
年老いた漁師は、当たり前だというように答えた。
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