「のど」の筋肉


 まず、のどの解剖の目印を手で探ってみます。

 唾を飲み込んでみてください。そのとき、のど仏に手を当ててみてください。のど仏があがります。

 こののど仏の中が気管の入り口です。いわゆるのど仏を甲状軟骨と呼びます。

 のど仏の上を探ると、顎と首の角のところに堅いものをふれます。これが舌骨です。舌骨は舌の土台になっています。舌はこの舌骨を土台にして動きます。

 この舌骨にたくさんの筋肉がくっついています。まず、舌骨と下顎骨の間の筋肉から解説しましょう。


 顎二腹筋は耳の穴の後ろの頭蓋骨(乳様突起という)から下顎骨のオトガイの裏につながっています。途中で舌骨にくっついています。


 この顎二腹筋が舌骨につくところから、頭蓋骨の底面にある突起(茎上突起という)へつながっているのが、茎状舌骨筋です。

 顎舌骨筋は下顎骨の内面から舌骨へつながっています。広い三角形の筋肉です。

 オトガイ舌骨筋は顎舌骨筋の内側にあり、下顎の先端(オトガイ)の裏側から舌骨につながっています。
 



 これら4つの筋肉はまとめて、舌骨上筋群と呼ばれます。

 舌骨上筋群は食べ物を飲み下す(嚥下といいます)ときに働きます。



実験 


 唾を飲み込んでください。舌の根が上に上がり、前に来るのがわかるでしょう。

 舌骨に指先を当てて、同じことをしてください。

 唾を飲み込むときには、舌と舌骨は一緒に動きます

 この舌骨を前の上の方向に動かしているのが、顎二腹筋の前半分、顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋です。

 もう一度、唾を飲み込んでみます。

 舌の根が口の中で天井についても、舌の根の奥が上に上がります。

 舌骨が上に引き上げられています。これは舌骨上筋群の4つすべての筋肉が動いています。

 もう一度、唾を飲み込みます。

 そして、舌骨があがった頂点でどの方向に動くかを感じてみます。

 舌骨が頂点に達してから、後ろに動くのを感じるでしょう。

 それが顎二腹筋の後ろ半分の働きです。

 飲み込んだ食べ物が、戻ってこないように舌の根を動かしています。