空港にて 2

 わたしは「パーカーを探して・・・」と言いかけたがやめた。

 一目でわかった。

 こいつが着ているパーカーが、わたしの探しているパーカーだ。

 「こらっ、それはわたしのパーカーではないか!」と言うと、

 「えっ、いいじゃないですか。お父さんはたくさん持っているでしょう。一枚くらいかわいい息子にあげたって」と言う。

 たしかに、一般論では成り立つであろう。

 しかし、この息子がかわいいであろうか?

 今も、わたしのパーカーをとろうとしているのだ。

 とんでもないやつである。

 父親の顔を見てみたいものだ。