魔法か科学か


 「では、これからあなたの
心を読みます」と言うマジシャンは、下手です。

 嘘をついているからです。

 「では、これからあなたの心を
読もうとしてみます。もし、私があなたの心に浮かんだカードと同じカードを、抜き取ったら私があなたのこころを読めたのかもしれません」と言うのが、上手なマジシャンです。

 こう言われたお客さんが、「心を読まれた」と思うのは、お客さんの「内側の世界」ですから、正直なマジシャンにはコントロールできないことです。

 でも、お客さんがそのように「考えたら」、不思議なことが起こります。

 マジックを練習すると、一般意味論が良く理解できるようになるかもしれません。
 

 自分の周りの世界を、今まで語られたことに注意してみてみましょう。

 事実に基づかない推測を事実として扱う人々。

 起こる確率が低いことが起こると、「起こるはずのないことが起こりました」と報道するニュース。

 江戸時代の人から見るとまったく間違いの現代語を使いながら、「正しい日本語を使え」と指導する人々。


 ひょっとしたら、マジックよりもっともっと「不思議な世界」が見えてくるかもしれません。