呼吸の動きによるポンプ

lungs_with_ribs_breathing
 人は生きている限り呼吸します。

 息を吸うと、筋肉が胸郭という骨でできた入れ物の容積を大きくします。

 すると、胸郭の中の圧が下がりますから、空気が肺に吸い込まれます。

 胸郭の中の圧が下がることで、中小静脈まで来ていた静脈血は、大静脈、心房の中に吸い込まれます。

 もちろん、リンパも胸管に吸い込まれていきます。

 まとめ

 体の筋肉の収縮と弛緩が中小静脈を押しつぶしたり、ゆるめたりします。

 中小静脈には弁があるので、押しつぶされたり、ゆるめられたりすると、ポンプとして働きます。

 中小静脈のポンプ作用により、末梢から血液が吸い込まれ、大静脈に押し出されます。

 大静脈には弁がありません。

 息を吸う動きにより、胸郭の内圧が下がります。

 胸郭の内圧が下がると、胸腔内にある上大静脈と下大静脈の圧も下がります。

 大静脈の圧が下がって、中小静脈の血液を大静脈に吸い込みます。

 息を吐く動きの時に、胸腔内圧はあがり、大静脈の圧はあがります。

 右心房と大静脈の間に弁はありません。

 大静脈の圧があがると、右心房のなかの圧もあがります。

 このときに右心室が拡張すると、右心房から右心室に血液が吸い込まれやすくなります。


 このようにして、「体の動き」と「呼吸の動き」が静脈環流のポンプになっているのです。
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