セラピーの結果起こること


1. クライエントは、自分の感情や態度を探り、それまで気づかなかった自分の隠された面を見つけます。

2. クライエントは、自分が大切にされると、自分で自分を大切にするようになります。

3. 自分の言いたいことを理解されているとわかると、自分で自分の言葉を聞くようになります。

4. 自分の中で進行していることに耳を傾け、自分が本当に言いたいことを考えるようになります

5. セラピストが現実感を与えると、クライエントも自分を現実として見るようになります。

6. クライエントに表現の変化がおこります。

 自分の過去を認めず、それを避けていたクライエントは、自分の過去に気づき認め、今この瞬間に(Here and Now)自分の中で起こっていることを感じ、知ろうとします。

自己否定をやめ、自己を受容し、人との社会的関係を作ることができるようになります。

7. クライエントの態度の変化がおこります。

 善か悪かという絶対論的二元論から、絶対的な基準はないという相対的な判断へと変化し、その大切さを理解します。

自分の外側の世界の評価ではなく、自己の判断力、決断力を信頼するようになります。


 上に書いたことを、サイバネティクス・システムの行動とその知覚の関係と、比較してください。
 
 「心理の修復プロセス」がクライエントの中で発生するというのは、クライエントの心理は「生きているシステム」であるということです。

 セラピストが自分の中で起きていることを意識して、そのことが自然に言葉になること、セラピスト自身が透明であることは、クライエントの「心理」からセラピストに加えられた「力」を、素直にクライエントに返して、クライエントに「今、ここで、自分が何をしているのか」を感じさせることになります。

 こうしてみると、ロジャースのクライエント中心療法は、人の心理を「生きているシステム」と見て、そのシステムが自己を認知する「環境」を提供していることになります。

 心理にも、サイバネティクスとシステムという考え方は応用できます。

 「今ここで Here and Now」は、上記3人のセラピストが同じように口にします。

 また、ロジャースの言うように絶対的な二元論ではなく、相対的な判断をするというのは、「一般意味論」でも説かれます。

 みんな関係しているのです。

 まるで、メタシステムを作っているようです。