「多い」という信号が出ると、肉芽の中でコラーゲンが短縮し始めます。

 すると、肉芽は小さくなっていきます。

 また、コラーゲン分解酵素が活発に活動を始めます。

 すると、肉芽のコラーゲン線維が短くなり体積も減り瘢痕化していきます。

 最終的には、瘢痕の上に表皮が薄く乗ります。

 その後、長い時間をかけて瘢痕の中のコラーゲンを分解していきます。

 肉芽が「多い」という信号は、「肉芽を作る」というプロセスには、ネガティブ・フィードバックをかけます。

 「コラーゲンの分解」というプロセスに対して、ポジティブ・フィードバック
をかけます。

 
同じ信号でも、違うプロセスには「違う意味のフィードバック」となります。

 多くの人が、「肉芽が創を埋めて治癒する」と考えます。

 しかし、創の治癒には少なくとも2つのプロセス、「肉芽を作るプロセス」と「肉芽を吸収するプロセス」が存在します。

 これは時間的に変化するのではなく、その創の状態(「相 phase」と呼びます)によってフィードバックでコントロールされています。

 この2つのプロセスは独立しています。

 同時に進行することもあります。

 それが可能なのは、「多い」、「少ない」という信号を、それぞれのプロセスが独立して判定してポジティブ・フィードバックとネガティブ・フィードバックに生かしているからです。