期待不安と現実不安

 フロイトは神経症不安の中に、3つの不安があるといいます。

 第1のグループは、人間は未来を確実に予見できないことから来る不安です。

 これはいつでも何かにつけて出てきます。

 受験の時に、「落ちたら、もうだめだ」と考えたことはありませんか?

 なにかを期待するから、不安になります。

 第2のグループは恐怖症に伴う不安です。

 第3のグループは、理屈も何もなく不安になる不安。

 フロイトも理解不能といっていますから、私には説明不能です。


 フロイトは、「不安」をリビドーを押さえつける「抑圧」と結びつけて、神経症を理解しようとしました。

 しかし、私が、大切と思うのは「期待不安」という考え方です

 これは、「期待」という思考から出てきます。

 もし、期待しなければ、この不安はありません。

 期待不安は思考すること、内言で頭の中で未来について自分に語ることから生じます。

 一般意味論を思い出してください。

 「地図の地図を作ることができる」、つまり、言葉を言葉で定義することで、言葉が現実から離れて、「今、ここ」ではないことを語り始めます。

 このときに、「自分が・・・と考えている」と現実に起きていること、つまり思考していることに気づいていれば、不安は起こりません。

 不安になるときには、「考えていること」が「今、ここ」に起きていると錯覚するからです。

 このような思考から来る発言を、論理情動行動療法のエリスは「狂気の発言」と呼びました。なるほどねと思います。

 
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