このエスは「イド」とも呼ばれます。

 イドはラテン語の「それ」です。

 英語の本を読むとi.e.と書かれていることがあります。

 これを英語で読むときは、"that is"と読みます。

 「つまり」という意味です。

 i.eは"id est"(イド エスト)の省略形です。

 ラテン語ではid=it, est=isなのです。

 ですから、「エス」も「イド」も同じ意味です。


 フロイトはこの「なにやらわからない、つまり意識されないけれども、人間に欲求・衝動を起こすもの」=エスが人間の心の根底にあると考えました。

 エスはすべての本能や欲望と呼ばれるものを含み、抑制することも、待つことも、理解することもなく、論理も道徳も持っていません。

 エスは、ただひたすら「エスが楽になること」だけを追い求めて活動します。

 エスは「快楽原則 Lustprinzip」に従って活動するのです。

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