ダイエットとサイバネティクス



 ダイエット製品を売るのは、儲かるようです。

 毎年、「画期的な新製品」が発売されます。

 しかし、多くの人が気づいていないのです。


 今年でた「画期的な製品」をしのぐ製品が、来年に必ず発売されるのです。

 ですから、どれもそんなに効果がないのです。



 わたしはかつて体重が80キロありましたから、階段を上るのはいやでした。

 あるとき、単身赴任することになり、ダイエットを決意しました。


 まずは、文献検索からです。

 栄養学から調べます。

 厚生省は「一日、30品目」なんてことを勧めていますが、却下。

 だって単身赴任では、そんなに多品種を買い込んでも消費できません。

 消費しようと全部食べたら、ダイエットになりません。

 まぁ、1週間で30品目行けばよいでしょう。

 食べたものは消化管から吸収されて、肝臓に行きます。

 日中なら、そのままエネルギーとなり消費されますが、眠っていれば、使われないので、脂肪に変換されます。

 寝る前に食べるなと言われます。

 その通りです。

 どうしても空腹なら、ちょっとだけ食べて待ちます。

 待てば、空腹感は薄らぎます。待たずに次々と食べるから太ります。

 清涼飲料水も甘いものはやめます。

 これはかなり効果的です。


 基礎医学の分野も調べます。

 肥満遺伝子というのがあるのですが、まだ詳しくわかっていません。

 飢餓遺伝子というものもあります。

 飢餓状態になると、消費カロリーを減らして体の消耗を防ぎます。

 電気製品の低消費電力モードのようなものです。

 普段は消費カロリーが多くてもよいから、細胞内の物質を速く交換して、体を新鮮に保つようにしているらしいのです。

 ところが、飢餓状態だと体が気づくと、細胞内の物質が多少古くなっても良いから、消費カロリーを減らして、脂肪を減らさないようにします。

 景気の良い会社は、収入が多いので、資材を購入して工場を新しくして、作業効率を上げようとします。

 しかし、景気が悪いと判断すると、工場を修理するのをやめ、古いままで生産を続けます。

 同じことが、体でも行われるのです。

 「肥満の経営学」です。
 


 ちまたの情報も調べます。

 具体的な方法で、参考になったのは、アメリカやヨーロッパのメンズ雑誌です。

 いわゆるマッチョ系の人の読む雑誌です。

 これは品のない記事も載るのですが、体作りに関してはわかりやすい。

 饑餓遺伝子の工場の例を考えてみましょう。

 工場の環境整備を削っても追いつかないほど会社の収入が減ると、蓄えた資金を使うのではなく、生産性の低い工場を閉鎖します。

 体でも同じようなことが起きます。

 取り込むカロリーが減ると、体は使わない筋肉を減らし 筋肉を維持するのに必要なカロリーを節約し始めるのです。

 ですから、減量のためには運動を維持して、体が筋肉を減らさないようにすることが大切だといいます。


 つまり、脂肪を減らすためのダイエットにおける運動の意味は、消費カロリーを増やすことではなく、筋肉の維持にあります。

 筋肉を落とさないために、ダンベルを買いました。

 しかし、これは肘を痛めてしまいましたので、夏の間だけ、1週間に2回、30分泳ぐことにしました。



 大切なことは、運動量を落とさないこと、運動の質を確保すること、食事に留意すること、続けることです。

 まず、カロリーブックを買います。

 3日間くらい、自分の食べているものを記録します。

 そして、1日の摂取カロリーを算出します。

 一日の摂取カロリーを300カロリー減らします。

 たとえば、1日3000カロリーを食べていたとわかったら、300カロリー低く2700カロリーに抑えるようにします。

 そのために、カロリーブックをいつも参照しなければなりません。

 そして、毎日、体重測定します。

 1日300カロリー減らすと、1ヶ月で9000カロリー減ります。

 脂肪1グラムでエネルギーを9カロリー産生しますから、9000カロリー少ないと、蓄えた脂肪の1キログラムが消費される計算です。

 このときに、大切な前提が運動量を落とさないことと、体が低消費モードにならないことです。

 体を低消費モードにするのは、飢餓遺伝子の働きです。

 ですから、厳しいカロリー制限をして体を飢餓状態にしないことが大切です。

 そのために、1日300カロリーの減少という緩い条件にします。

 体重を記録しながら、1ヶ月に1キロを目指します。

  さて、結果はどうなるのでしょう?